【事例で学ぶ】伝わらない日本語Part1「熟語の造語」【理系やSEがやりがち】

日本語を書く能力が乏しい人はたくさんいます。特に新社会人に顕著です。何故でしょうか?
答えは「日本の教育課程で書く訓練をする機会が著しく少ないから」です。
皆さん思い返してみてください。
学生時代に「わかりやすさ」「伝わりやすさ」に心血を注いで文章を書いた経験はありますか?
読書感想文でもレポートの提出でも、拙い日本語のまま受理されてしまうケースがほとんどでしょう。
機会が少ないことは仕方のないことですが、日本語力はどんな仕事をするにしても必要です。

この記事では、SE向けの具体例を出しながら日本語力向上のためのアドバイスをしますが、簡単な例なのでSEではない人へも応用が効くはずです。

今回のテーマ

極端な例です。

A「夫婦間家事担当割合はどのぐらい~?あなたの担当家事項目を教えて~」
B「1:1ぐらいだよ。私の担当家事項目水道関連家事だよ~」

字面を見れば理解可能ですが、違和感がすごいです・・・。
口頭だとまず理解が追いつかないかと思います。

A「夫婦間の家事の割り振りってどうしてる~?あなたは何を担当してる~?」
B「半々ぐらいかな。私の担当は洗面台、風呂、トイレ掃除、排水口の掃除だよ~」

で済むはず。今回のテーマは、伝わらない日本語「熟語の造語」です。

日常会話ではやらないことを仕事でやってしまうことが多いので、次は仕事での例を紹介します。

仕事での例(前提)

※時間がない人は仕事での例(問題点)までスクロールしてください!

こんなサイト「動物植物検索.com」を作ろうと思います。
まず前提が長くなってしまいますが、圧倒的にこのパターンが多いのでお付き合いください。
詳細な具体例があったほうが、このケースはわかりやすいです。
特段、これといって難しい仕様は無く、ただの検索画面です。

まず、「動物植物検索.com」にアクセスした人が、最初に画面を開いたときの様子です↓

図1.初期表示

図1の状態から、そのまま中央の検索ボタンを押すとこんな感じ↓

図2.検索ボタン押下後(絞り込みなし)

黄色の項目「住処」「脚の本数」「飛翔能力」に何も入力していないので、画面下部の表には、色んな動物が検索ヒットして表示されている状態です。
ちなみに絞り込み検索を行う際は、こんなかんじ↓

図3.検索ボタン押下後(絞り込みあり)



図3は、図1または図2の状態から、赤字の①②の手順に沿って操作して③の状態になったときの様子です。
「住処:陸上」「脚の本数:8」「飛翔能力:なし」という検索条件にヒットする生物名とその詳細(分類)を、画面下部の表に表示してくれます。


細かいツッコミどころはさておきこの画面は、ユーザーが動物の特徴を入力して検索ボタンを押下すると、システムはその特徴にヒットする動物の詳細な情報(分類のみですが)を表示してくれる、という機能を持っています。

これまでは動物植物ラジオボタン(※1)に「動物」が選ばれていたので下記の状態でした。
                ※1 ピンクの「分類(界)」と書いてる「動物」「植物」の選択肢
・動物を検索するための「住処」「脚の本数」「飛翔能力」は入力可能(以降、「活性」と呼ぶ)
・植物を検索するための「花の有無」「花の色」「開花の時期」は入力不可(以降、「非活性」と呼ぶ)
これに対し、「植物」が選ばれたときには、これらの画面項目の活性、非活性が逆になります。


図4.動物植物ラジオボタン選択アクション

仕事での例(問題点)

現在、画面のプログラミングが済んで、これからテストを始めるという段階です。
動物植物ラジオボタンについて、図4の動作が正しく動くことをテストするため、テスト仕様書の大項目3にまとめました(図5)。
ですが、テスト仕様書を見た人には、テスト仕様書を作った人の意図が伝わらないようです。
何故でしょうか?

図5.動物植物ラジオボタンのテスト項目(NG例)

仕事での例(解説)

図5のテスト確認方法の赤字部分「動物検索項目」という表現がNGです。
これが伝わらない日本語「熟語の造語」です。
ここでテスト仕様書作成者には次の思い込みがあります。

1.『「住処」「脚の本数」「飛翔能力」の3つをまとめた言い方として「動物検索項目」という表現をすれば伝わるであろう』
2.『まとめて一般化した言い回しをした方が美しい』


問題点は下記のとおりです。

1.については、「動物検索項目」という独自の言葉を作り上げた上に、何の注釈も無い。  
2.については、このテスト仕様書は日本語をベースに作られてるのであって、数式ではない。したがって、まとめて一般化した言い回しをしたからといって伝わりやすいとは限らない。

回避方法は以下のとおりです。

1.を改善する場合:
独自の言葉を生み出してしまっているのは「漢字を連ねて無駄に熟語化するから」です。
したがって、助詞や目的語として、ひらがなを間に入れ込むことで改善します。
「動物検索項目」⇒「動物検索するための項目」

改善例は下記のとおりです。(問題の赤字部分を青字に訂正)

図6.動物植物ラジオボタンのテスト項目(OK例1)

2.を改善する場合:
理系であればΣ{n=1~100}nとしたほうが美しく見える事象も、ビジネスの場でお客様相手の場合には「1+2+3+・・・+100」としたほうが分かりやすいし伝わりやすいのです。
まとめて一般化するよりも、箇条書きのほうが好ましいです。
今回は「動物検索項目」も「植物検索項目」も、たった3項目をまとめただけの表現ですので、すべて挙げてしまうほうがよいでしょう。

改善例は下記のとおりです。(問題の赤字部分を青字に訂正)

図7.動物植物ラジオボタンのテスト項目(OK例2)

おわりに

今回の「熟語を造語」は、私が部下1人に対し、必ず一度は指摘しているであろうというほど頻出のパターンでした!
私もかつてこれをやっており、案の定お客様に「これどういう意味?」と聞き返されておりました・・・。
今後もこのシリーズは続けていこうと思います!

コメント

タイトルとURLをコピーしました